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平成20年度 テーマ1「新しい中小企業政策の動向」


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平成20年度 テーマ1『新しい中小企業政策の動向』

本多ビジネスコンサルティング
中小企業診断士  本多 喜悦


平成20年度 テーマ1『新しい中小企業政策の動向』
「中小企業新事業活動促進法」に基づいて認定される新連携事業と「農商工等連携促進法」に基づいて認定される農商工等連携事業との支援上の共通点と相違点及びそれらにおいての中小企業診断士の役割

【1】「中小企業新事業活動促進法」に基づいて認定される新連携事業と「農商工等連携促進法」に基づいて認定される農商工等連携事業との支援上の共通点と相違点
1.両連携の支援の共通点
(1)市場指向型ハンズオン支援事業
 両連携ともに常駐の専門家が地域中小企業の相談に応じて、市場調査、商品企画、マーティングなど各事業段階に毎に次のような支援を行っている。
[1]窓口相談(各地域ブロックごとに10箇所に支援拠点を置いている。)
[2]事業作成のアドバイス
[3]事業性評価、審査
[4]市場調査、商品企画の支援
[5]首都圏等の販路開拓に係るマッチング支援
[6]事業計画のフォローアップ
[7]各種専門家の派遣
(2)補助金
[1]連携体構築支援事業
 両連携共に、連携体構築に資する規約の作成、コンサルタント等に係る経費を補助する支援がある。ただし、その内容は上限が500万で2/3以内となっている。
[2]事業化・市場化支援事業
 新商品開発、マーケティング等の経費の一部を助成するものである。これは限度額3,000万円で総事業費の2/3以内となっている。
(3)融資制度
 両連携ともに、政府系金融機関(日本政策金融公庫:旧国民生活金融公庫、旧中小企業金融公庫、商工中金など)による運転資金や設備資金の低利融資の支援措置がある。
(4)信用保証の特例
 連携に参加した企業が金融機関から融資を受ける際、信用保証協会が保証する制度として、通常の企業とは別に普通保証や無担保保証の別枠化、新事業開拓保証の限度枠拡大の支援がある。特に、農商工連携については食品流通構造改善促進機構による債務保証も行っている。

2.相違点(新連携にはないが農商工連携にはある支援策)
(1)設備投資減税
 新連携には支援策としてはないが、農商工連携には事業計画に基づく、所得税、保陣税の特別償却の支援がある。
具体的には、7%の税額控除または30%の特別償却が認められるものである。対象となる設備としては[1]機械装置で1台の取得価額が160万円以上のもの、[2]特定の器具備品で1台の取得価額が120万円以上のもの、[3]一定のソフトウエアで合計の取得価額が70万円以上のものなどが認められる。
(2)農業改良資金、林業・木材産業改善資金助成法、沿岸漁業改善資金助成法等の特例
 新連携には支援策としてはないが、農商工連携の認定を受けた事業者には標記特例の支援措置がある。具体的には、認定を受けた中小企業者が、農林漁業者の行う農業改良措置を支援する場合に、当該中小企業者が農業改良資金等の貸し付けを受けられるとともに、計画の認定を受けた中小企業者または農林業業者が当該計画に基づいて行う事業に必要な農業改良資金等の償還期間及び据え置き期間を延長するものである。なお、償還期間は10年から12年まで延長可能であり、据え置き期間は3年から5年に延長可能となる。
(3)小規模企業者等設備導入資金助成法の特例
 新連携には支援策としてはないが、農商工連携の認定を受けた事業者には標記助成法の特例の支援措置がある。
具体的には、認定を受けた小規模事業者に対し、設備資金貸し付けの貸し付け割合を引き上げるものである。認定を受けた中小企業者には限度額6千万円まで(所要資金の2/3以内)(通常の企業は限度額4千万円で、1/2以内)が借入可能となる。

3.相違点(新連携にはあるが農商工連携にはない支援策)
(1)中小企業投資育成株式会社の特例
 新連携には認定された事業計画に基づいて、中小企業投資育成株式会社からの出資が得られる支援がある。
(2)特許関係料金の減免
新連携には認定された事業計画に基づいて、特許庁に納める審査料や特許料を半額軽減する支援がある。

【2】農商工等連携事業においての中小企業診断士の役割
1.基本的スタンス
 地域活性化の一助に資することを使命に地域密着型で、継続的に成果が出るまで親身に支援することが重要と思われる。具体的には次のような役割である。
(1)トータルで総合的に支援を行う
 本事業は、[1]気づき→[2]構想→[3]計画→[4]実行→[5]成果までトータルで総合的に支援する制度であるので、中小企業診断士も事業者の下記のポジショニングを判断して適切な支援を行うことである。
[1]気づき、出会いの場面で
 ここではまだ、具体的事業計画が未熟であることが多いので、農業者や商工業者に対して経営相談や出会いの紹介を行って、知的刺激や気づき、着眼を与えることが求められる。  
また自分の人脈や知る限りの支援機関を紹介して、計画策定の基礎固めを行うことが必要である。
[2]構想の場面で
 核となる技術、商品、サービスが固まりつつある中で申請に向けてより明確にする支援を行う。そのためには関係者とコミュニケーションを密に設けて、事業化に向けて豊富なアイディアやマーケティングチャネルなど中小企業診断士ならでの役割を果たすようにする。時には、計画に参加する農業者や事業者の触媒役やコーディネート役を果たす事が重要となる。
[3]計画申請の場面で
 ここでは、計画に参加する中小企業と農林漁業者との詰めた支援を行い、事業名、事業概要等を明確にする。例えば、農業者の取り組み内容、中小企業者の取り組み内容、有機的連携内容等である。これらを実施していくために計画期間を決めて実現可能な範囲を見定め、審議会の審査員に分かりやすく明確化するための支援を行う。
[4]実行の場面で
 ここでは、開発や事業化に向けて支援を行う。市場指向型ハンズオン支援事業として、マーケティング支援、販路開拓、専門家派遣、事業計画のブラッシュアップ等の支援を行う。また、本事業の支援措置を認定された計画に基づいて適宜活用して成果に結びつける支援を行う。例えば、資金調達面として補助金、政府系低利融資、信用保証協会などである。
[5]成果を出す
 この場面では、これまでの取り組みを事業化して具体的に収益等に結びつけることが重要である。そのためには売上計上から回収まできめ細かくモニタリングしながら対応することが必要となる。具体的には、顧客の声を聞いたりクレーム対応に支援したり、事業の検証見直しのための情報収集も欠かせない役割となる。

2.事業者との対応について
(1)目利きの専門家としての自覚
 相談を受けた時は事業内容が未熟な面があることも多いが、大前提として相談者の着眼点の評価ができないとその後の動き方が変わってくるので、自分の評価が妥当かどうかやもっと良い着眼はないかなど、考えている事業とその核となるものの妥当性を評価する目利きが大丈夫かを自覚する必要がある。
(2)自己研鑽の日常化
 そのためには、日常生活からその意識をもって自己研鑽を積まなければならない。例えばスーパーや家電小売店での商品構成や買い物風景一つをとっても、街角ウオッチングとして意識するべきである。
(3)伴走者としての役割
 時間が経過すると相談者も徐々に分かってきて自主的に動ける場面も出てくる。中小企業診断士は実現する事業のイメージを明確に持ち、当該段階がどの段階を見極め、相談者の力量や状況を把握して自分の動きを決めるようにしなければならない。中小企業診断士があまり前面に出過ぎても良くないのである。理想的には黒子役として相談者の良き伴走者としての自覚と役割をもって事に当たることが望ましいと思う。

以上




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