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平成21年度 テーマ1「新しい中小企業施策の動向」


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平成21年度 テーマ1『新しい中小企業施策の動向』

本多ビジネスコンサルティング
中小企業診断士  本多 喜悦


平成21年度 テーマ1『新しい中小企業施策の動向』
中小企業の販路開拓における問題点

1.中小企業の販路開拓における問題点
(1)売ることを考えて開発していない
 これは、中小企業でよく見かけることである。これまでは取引先から支給される図面や価格で受注していた企業に多い。仕事が少なくなった。付加価値をもっと出したいなどこれまでの受注パターンではない、自ら意志決定しなければならないことが多い開発販売で見られることである。
 例えば、これまで精密な部品加工を行って来たのでそれらを組み合わせて1つの完成品を作って販売すれば利益が多く出るなどである。しかし、このような場合の陥る問題点として自分の技術や経験でモノは作れる、だからそれを販売すれば良いのではという思考パターンである。作れることと自ら販売出来ることはイコールではないのである。
 これまでも、機械修理業者が電装分野や機械加工が十分出来るので、自社製品を作りたいとのことで、社長が頑張って福祉機器を開発した。しかし、商品の完成度の問題もあって全く売れなかった。社長に伺うと開発には熱心であったが、こと販売については「不得意だから」、「その内・・・」とか明確なビジョンが返ってこなかった。
 この例からも、基本的に販売場面のイメージが出来ていないまま開発してしまうことが多い。実は、作る前(あるいは開発する前に)に販売することをじっくり考えておくことが不可欠である。例えば、どのような顧客にどの位の価格で、他社の商品との比較など、作る前に“販売”という場面を具体的にイメージすることが大事である。  
具体的には、購入者が自社の製品のために“お金を払う”場面を描いていないのである。これまで、自社製品を自分の付けた価格で販売したことのない企業では良く発生する事象である。
(2)市場投入と販売するための自社の経営資源をギャップの認識が不十分である
 中小企業の経営資源は豊富ではない。人材、資金、部材調達力、製造力等々である。モノ作りに得意なので商品開発には経営資源を割くが、販売面ではなおざりなるのである。これはある程度致し方がないのであるが、問題はそれを認識しているかである。認識してれば、人材が不足しているからハンティングをしようとか、広告や運転資金の調達のために先回りして手を打つとかする。しかし、その認識が不十分であると、開発計画や販売計画そのものがずさんになったり場当たり対応になってしまう。
 つまり、想定する市場や想定する顧客から買ってもらうとした時に、それに至るプロセス上に自社の経営資源の何が足りないのかを適切に把握することが大切である。
 例えば、製品を周知するのに何をしなければならないのか。ラジオコマーシャル、新聞折り込み、駅前でのサンプル配布、営業担当の新規配属など色んな手法がある。 
その場合に自社で何が出来て何が出来ないのか、それを明確にして販売計画に組み込んで実施ししなければならない。
 これは、販売面のみならず調達も含めた製造面でも見られる。例えば、実用機が完成した。それを量産化しなければならない時は部材の調達はどうするか、製造は自社でやるのか外部委託するのかなど、下請け時とは多くの違った経営資源を必要とする。
 これらを認識して計画に組み込んでおく必要があるのである。
(3)上記問題点における経験を踏まえた対処方法
1)福祉機器販売への支援内容
 前述の例である。相談を受けた時私は社長に想定する顧客の声を聞かせなければと思った。そこで、社長と一緒に完成品を福祉施設に持ち込み使用者の声を聞いた。その結果改良点としていくつか指摘され、改良に着手した。その結果何台か売れた。
 この例は、社長は自分の技術やアイディアに惚れて顧客の声も聞かないで想像で作り上げたのであった。社長は開発している時が楽しいのである。販売は自己中心ではいかなので顧客の声をどうしても聞かせる必要があったのである。
2)蛍光灯処理機のマーケティング支援
 これまで違う分野の自社商品を製造販売していたが、これからは環境関係の分野有望ということで社長の号令の名の下に開発した商品であった。社長はこれまでの分野は頭打ちで市場は伸びないとの判断で、今話題の環境分野を狙ったのであった。
 製品開発は既存分野での開発のプロセスの経験があるだけにそれなり進んだ。私に相談があった時は「どのように売れば良いか」とのことであった。上記問題の(1)(2)の両方の問題である。売り先はある程度想定しているが、これまでとは違うマーケットチャネルを使わなければならないのでそのノウハウや何をすれば良いかが不明確であった。そこで、市場調査ということで想定する顧客を周りどのように売るかをそのために何をしなければならないかを報告書にしてまとめた。詳細は避けるが結論的には商品そのもののニーズに課題があるとことで、結論的には市場投入はしなかった。
 ここでの問題は市場調査が不十分なまま開発を進行させたという根本的な問題が一番であるが、その次の投入するために経営資源として何をするかが不明確であったのである。どんな商品も市場投入は難しいが、蛍光灯が無理であれば別の処理機器に応用出来たかもしれない。前述したように、中小企業の経営資源は豊富ではないので、余談ではあるが開発で獲得した資源を他に応用するしたたかさも必要である。

2.販路開拓において利用出来る施策の概要
 先に平成21年度から新しく施行された施策について述べる。
(1)販路ナビゲーター創出支援事業
この事業の対象となるのは、都道府県等の支援により自社で開発した製品等の販路の確保・拡大を希望している中小企業者である。支援内容は豊富な経験を有する企業OB等を「販路ナビゲーター」として登録し、販路紹介や販売代行業務等につなげるための「販路ナビゲーターとのマッチングの場」を提供するものである。
具体的には、[1]販路ナビマッチングプレゼンテーション(全国規模での販路ナビマッチングプレゼンテーションを開催し、販路ナビゲーターとのマッチングを支援)[2]地域マッチングイベント(都道府県等の支援機関が主催している中小企業を支援するマッチンゲイベント)において、販路ナビゲーターの派遣を希望する中小企業がある場合には、機構に登録している販路ナビゲーターを派遣する。)
(2)新連携対策事業(新事業活動促進支援)
対象となるのは、1)事業化・市場化を目的とした、異分野の複数の中小企業者による連携を構築したい事業者(他に大企業/大学/研究機関/NPO/組合などを含んでもよい)、2)2社以上の異分野の複数の中小企業で連携して新たな事業活動に取り組む事業者で、中小企業新 事業活動促進法第11条の異分野連携新事業分野開拓計画の認定を受けたものである。特に販路開拓として、市場化支援事業があり異分野の複数の中小企業者が連携して行う事業に必要な経費(連携規程作成・新商品開発・マーケティング等)の補助を受けることができる。補助金額として1認定事業計画当たり上限2500万円(下限100万円)、補助率は2/3以内である。
(3)市場支援型ハンズオン支援事業
対象となるのは、次の3つの法律に基づく事業計画の認定を目指す中小企業者等である。
[1]「中小企業新事業活動促進法」に基づく異分野連携新事業分野開拓計画
[2]「中小企業地域資源活用促進法」に基づく地域産業資源活用事業計画
[3]「農商工等連携促進法」に基づく農商工等連携事業計画
支援内容として、地域ブロックごとの全国IOカ所に相談窓口を設置して、マーケティング等に精通した専門家が事業段階に応じ以下のような支援を行う。具体的には次のとおりである。
・窓口相談
・事業計画作成のアドバイス
・事業性評価、審査
・市場調査、商品企画の支援
・首都圏等の販路開拓に係るマッチング支援
・事業計画のフォローアップ 
支援担当者としては、製造業、商社、金融機関出身者、中小企業診断士を始めとしたビジネスコンサルタントなど、様々なバッググラウンドの専門家を揃えている。
 次に、従前からの販路開拓に利用出来る施策を次に述べる。
(4)ベンチャーフェア(新市場創出支援活動事業)
対象となるのは、革新的な製品・試作品やサービスを有しており、販路・事業提携先の開拓を希望している企業である。
支援内容として、公的機関が行う日本最大級のベンチャーマッチングイベントであり、全国の選りすぐったベンチャー企業の製品、サービス等が紹介され、多くの事業者に広く広告するにより、販路・事業提携先の開拓などビジネスマッチングの機会を提供することを狙っている。具体的には次のものがある。
・出展ブース:ベンテャー企業は、販路・事業提携先等の開拓を目的として、開発した製品やサービスを展示できる。
・セミナー:著名人による「基調講演」、起業やマーケティング等をテーマとした各種のセミナーに無料で参加できる。
・アドバイスコーナー:公認会計士、中小企業診断士、技術士、経営コンサルタントなどの各種専門家により経営面、財務面、技術面、マーケティング面等のアドバイスを無料で受けることができる。
・表彰制度:創業・ベンテャーに対する意識啓発や理解の向上を図るため、果敢にチャ レンジ精神を発揮し起業を目指す者のモデルとなる起業家や、起業支援に功績のある支援家を表彰する。(経済産業大臣表彰、中小企業庁長官表彰等)
(5)中小企業総合展(新市場創出支援活動事業)
対象となるのは、新商品や新技術を広く紹介したい中小企業者等が出展でき、イベント内容として、中小企業者等が自ら開発した新商品一新技術等の経営革新への取り組みを、出展による展示・プレゼンテーションにより紹介することができる。また、会場内には来場者との商談コーナーや中小企業支援機関による施策普及コーナー等も設置されている。実施会場は東京(東京ビッグサイト)と大阪(インテックス大阪)で開催される。
(6)販路開拓コーディネート事業
対象となるのは、中小企業新事業活動促進法に基づく経営革新計画の承認を受けた中小企業者である。支援内容として、中小企業基盤整備機構の関東支部と近畿支部に、商社OB等の販路開拓の専門家(販路開拓コーディネーター)を配置して、経営革新計画の承認を受けた中小企業等が開発した新商品等を商社一企業などに紹介又は取り次ぎし、首都圏・近畿圏の市場へのアプローチを支援する。
(7)輸出支援事業
対象となるのは、次の中小企業者である。
・海外販路開拓や外国企業との業務提携の検討をしている中小企業者
・中小企業のサポートを行っている地方公共団体・業界団体
・経済連携協定(EPA)締結国、締結交渉国の進出日系企業
・海外ベンテャー企業等との業務提携・取引を検討している中小企業者
 支援内容としては、次のものがある。
1)輸出有望案件発掘支援事業
 優れた技術力やオンリーワン商品など、有望な製品を持っていながらこれまで輸出経験がない、あるいは輸出ビジネスに本格的に取り組んでこなかった中小企業・製品を全国から発掘・選定する。発掘・選定された中小企業・製品は、海外販路開拓のための各種アドバイスなど輸出実現に向けた支援を受けることができる。
2)海外展示会等出展支援事業
 ジェトロが主催する海外展示会のジャパンブースヘ、個別企業・業界団体等の参加を支援する。出展者は展示会でブースを構え、訪れるパイヤーと実際に商談することで具体的成果を伴った取り組みが可能である。また、ジェトロによる一部出展経費の補助を受けることができる。
3)海外展開コーディネーターリテイン事業
 欧米やアジア、中国などにおいて現地でのビジネスに精通したコーディネーターを配置し、コーディネーターを現地企業との橋渡し役として活用し、円滑な現地への輸出・海外展開を支援する。
4)輸出促進ミッション派遣事業
我が国中小企業の関心が高い海外市場に向けて、市場開拓の足がかりとなるよう現地市場の視察、関係者との意見交換、ビジネスマッチング支援などを行うミッションを派遣する。また、地方自治体や、業界団体等が派遣する海外ミッションについても、ジェトロが持つネットワークを活用した支援を提供する。
5)経済連携協定活用促進事業
 国内において、特定原産地証明手続きについてセミナーによる情報提供や、アドバイザーによる個別相談を実施するものである。海外においては、経済連携協定活用のメリットなどについてセミナーによる情報提供やアドバイザーによる個別相談を実施する。
6)中小企業国際化支援ネットワーク事業
 海外ハイテクベンチャー企業等との連携支援のため、国内外においてシンポジウム、セミナー等を開催しており、これらに参加することができる。

以上




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