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平成25年度 テーマ2『経営改善の具体的手法』


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平成25年度 テーマ2『経営改善の具体的手法』

本多ビジネスコンサルティング
中小企業診断士  本多 喜悦


平成25年度 テーマ2『経営改善の具体的手法』
経営改善計画の実行支援において、専門家等が期待されている背景について述べよ

【1】経営改善計画の実行支援において、専門家等が期待されている背景について述べよ。
 経営改善計画は作成してからが重要である。絵に描いた餅にならないように計画書に従って実行して、成果を出してはじめて計画の妥当性が評価されるからである。計画の実行の主役はもちろん当該企業である。しかし、業績内容の低迷や自信の喪失、課題解決の着手のための具体的取り組み方などの日常行動までも支援が必要とする場面がある。それが、実行支援と言える。
それが専門家に期待されている理由であり、以下にその具体的背景について述べる。
(1)これまでにない取り組み行動をしなければならない背景
 経営改善計画が必要となる企業は、業績が悪化してバランスシートも傷んでいるからである。それに至った原因は景気等の経営環境もあるが、中小企業の多くはそれ自身が持っている内部的原因に依るところが大である。
 その原因を探り、そしてその解決を行って業績を好転させるにはこれまでと違う取り組みが改善計画の実施項目に盛り込まれている。計画策定時には経営者も納得して明記して取り組むとしながらも、いざ実施段階で取り組もうと思っても、なかなか進まないこともある。経営者にしてみれば、今までの自分のやり方では駄目であるとの烙印を押されたようなものであるから、自信をなくしていることもある。
 そこで、必要となるのが実施段階での専門家である。中小企業診断士であれば、これまでの経験を活かして、当該企業の場面に応じて取り組んで、時には経営者と一緒に管理者育成に努めたり、製造現場の5S指導等を支援する。
 改善計画書の実現のためには、これまでと取り組みを実行しなければならないが、それを経営者だけはその意識や経験の不足から実行しきれないところを補うために専門家の支援を必要とする背景がある。
(2)経営者に計画等のイメージを経営者により分かりやすく明確に伝えなければならない背景
 改善計画書は支援機関と一緒にチームとなって進めるが、その時に経営者は改善策を言葉では理解するが、いざ実行段階になるとそのイメージが出来ていないことがある。前述の5Sを例にとると、工場としてしなければならない必須項目であり言葉としては知っていても、どのようなイメージで進めれば良いかが描けていない場合がある。そのような場面で専門家の支援が必要である。
 5Sであれば、整理、整頓、清掃、清潔、躾(習慣)であるが、それが具体的にどのようなイメージを持って進めるかが分からないことがある。そこで、専門家は5S活動前や5S活動後の事例の写真を見せたり、進め方の組織化、5Sパトロールの実施方法などを説明して経営者にイメージしてもらう。このイメージが出来ないと(1)の取り組み行動が円滑に進まないからである。
(3)経営者に自信を取り戻させるための背景
 経営改善を着手した段階では、業績が悪い状態で経営者は自信をなくしていることが多い。そこで専門家は小さな成功体験を積み重ねてもらうように支援を行うことも、必要とされる背景である。
 例えば、最初に改善計画に着手するときに社員に説明を行うこと一つをとってもそうである。
 改善計画を具体的なストーリーで現実的な実行項目を説明すれば、これまでと違う会社なると少しでも社員が思えるようなプレゼンができれば、それも自信につながる。社員がその気になってくれれば、社長も前向きに取り組むようになる。社長は社員から見放されるほど大きなショックは無いからである。
 専門家は社員への説明の際も、そのシナリオやキーワードなどを経営者と打ち合わせて、自信をもって臨めるようにする。
 その積み重ねが業績回復につながり、好循環に転換していく。そのためにも専門家が期待される背景である。
(4)モニタリングを担う一人としての背景
 計画書に従って、定期的にその進捗状況を専門家の立場から確認して、軌道修正や新たな取り組み等を確認するためにも、専門家が期待されている。
 このときには、業績等の数字的なモニタリングと実施項目のモニタリングを行って、両者の相互関係を確認したり、問題や課題を解決するために専門家としての助言を行う。
(5)総合的には、計画実行の伴走者、または黒子役としての要因
 以上から、計画期間中は経営者と一緒に伴走者や黒子役として支援して、あくまでも社長を前面に出して、成果は社長の手柄として内外に示すような役割が期待されている。

【2】経営改善計画作成および実行支援における中小企業診断士の役割と期待を述べよ。
1.策定時の役割
(1)組織診断・事業診断の専門家としての役割
 中小企業診断士は、当該企業の事業分析や組織分析が得意で、業績が悪化した原因を探らなければならない。それが不十分であると改善計画の妥当性が問われるからである。
 例えば、製造業であれば、原価管理、技術力、製造力、営業力などがどのように変化してきたか、同業他社の動向、経営者の考え方などを分析する専門家としての期待である。
 そのツールとして、財務分析、SWOT分析、プロセス分析などの手法を駆使して、当該企業の問題点、課題を析出する専門家である。
(2)課題解決及び構築力の専門家としての役割
 分析が出来た後は、それらを俯瞰して、解決すべき課題を設定してその優先順位付け、スケジューリングを行うことが必要である。
 イメージ的にはバラバラにしたジグゾーパズルを組み立てる構想力である。それは絵に描いた餅ではなくて、保有している経営資源を見ながら経営者と一緒になって、課題解決のシナリオを作る構築力が期待されている。
(3)プロジェクトマネージャーとしての役割
 計画策定時並びに支援時にはいろんなことが起きる。社員の労務管理の改善、金融機関との調整等である。改善計画の作成や支援はまさにプロジェクトである。中小企業診断士は、まさにそのプロジェクトを進めるリーダーとしての役割が期待されている。

2.実行支援時の役割
(1)チェック機能
 これは前述の[1](4)のモニタリングと同じ分野での期待であるが、中小企業診断士は現場に即した、その時々でのチェックが期待されている。
例えば、5Sパトロールの例であれば、結果としての「5S点検表」の記録の確認のみならず、パトロール時に一緒に付いてその確認の方法や会話も聞いて、より有効な5Sパトロールになるようにチェックするのである。いわゆるライブ的に実行支援していく役割である。
(2)ローリング機能
 経営は生き物であるから、進捗しながら取り組みを変えなければならないことが良くある。その際には計画のローリング(見直し)をしなければならない。中小企業診断士は状況に応じて計画書を見直す必要があるか、それとも計画通りに進めるかを判断して、経営者に進言することも重要な役割である。
(3)コーチング機能
 経営者と継続的に定期的にコミュニケーションを交わして、管理のポイントやなすべき事、社員に任せる事、社員に言うべき事などが徐々に変わってくる。
 これは、専門家からコーチングを受けているとも同義である。会社が変わるには社長が変わらなければならない。つまり、経営者の意識を変えていくことも中小企業診断士としては期待されている役割である。意識を変えて行動を変えて結果を変えていくのである。
(4)コーディネート機能
 [2](3)で述べたように、プロジェクトマネージャーとしては調整者としての役割もある。中小企業診断士は、全体を把握しながらも個別の状況に応じて、目的は計画達成のために自分の言動を考えて関係者と調整していくのである。
(5)人材育成の役割
 計画を実行支援していく中で、社長と同時に中間管理職としての幹部社員と接する時間や機会も増えていく。その際に、社長の意識を変えていくと同様に中間管理職をどのように育成していくかも考えておく必要がある。これは、計画達成ために社長、中間管理職、社員のベクトルが合わなければならないからである。特に、社長−中間管理職のラインが重要なので、その役割も期待されている。
(6)総合的にはコンサルティング機能
 以上からすると、実行支援時はまさにコンサルティング機能である。中小企業診断士は経営者と一緒になって、計画達成または目標達成のために、総合的支援を行う役割が期待されている。

以上




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