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平成26年度 テーマ1『新しい中小企業政策の動向』


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平成26年度 テーマ1『新しい中小企業政策の動向』

本多ビジネスコンサルティング
中小企業診断士  本多 喜悦


平成26年度 テーマ1『新しい中小企業政策の動向』
(1)戦略経営力のどのような方策が戦略的経営力の強化になり得るのか、診断経験等に基づいて述べよ
(2)戦略的経営力の強化に利用できる国の施策を解説せよ

(1)について
1.結論
 私の診断経験等からの結論としてC国際競争力に耐えうる技術力・人材であると思っている。その中でも特に人材であり、車の両輪である。やはり、人材が全ての源であると感じているからでもある。
 技術と人材はまさに比例的である。良い技術は良い人材から生まれ、技術の活用も人材である。ゆえに、内外の競争に勝っていくためには人材の強化が不可欠であり、後述する2.では人材強化策、3.では技術強化策をそれぞれ述べる。

2.どんな人材を目指すか
 人材の強化と言ってもそれは、戦略と相互関係を持つものである。今後の競争は質的にこれまでも競争と異なってきて、単純的画一的ではない。つまり、複合的重層的である。これまでのように、顕在化している品質、コスト、納期のようQCD一面的ではないのである。これらに加えて地政学的、保有技術、機能、デザイン、マーケティング、マネジメントシステム、CSRなど多面的に及ぶ。
 そのために目指すべく人材像を明確に設定する必要がある。これは極めて戦略と相互関係性が高い。どんな戦略をもつかで目指す(保有したい、期待したい)人材が変わるからである。どちらが欠けても競争力は落ちてしまう。
 第一義的には、将来のビジョンを決めて、それによって経営戦略が決まり中期経営計画等が決まっていく。その段階で、ビジョンの実現に必要な(目指すべき、期待する)人材像が決まる。
 ここがまずは重要である。つまり、ビジョン(企業の将来像)とその実現戦略が決まれば、目指すべきどんな人材を強化すべきが決まる。次に具体的な強化策を述べる。

3.人材強化策
[1]経営層
まずは社長である。経営戦略や経営計画には力点を置いてもそれに同期した人材の育成への意識のつながりが弱い。(経験的には)意外と代表権を持たない取締役や社外取締役の方が理解していることが多い。
 社長は短期的な業績も重要な指標であるので、人材の強化のような効果が発揮されるまで時間がかかる経営資源についての優先順位は下がってしまう傾向にあると思う。
 ゆえに、常勤役員、非常勤役員、監査役が出席する役員会での人材育成の議題を設定して、定期的に意見交換することが重要と思われる。
 一言では、まずは経営層がビジョンと人材、経営戦略と人材との観点でベクトル合わせと中期的な意識合わせを行うことが組織運営する上で重要である。
 また、中小企業は業務が属人化の傾向がある。業務経験が本人の資質育成につながることからより積極的に人事異動を行うことを意識すべきである。これも人事異動のメリットとデメリットを比較すると経験的には中期的には(企業にも本人にも)メリットの方が大きいと思われる。
 さらに副次的効果として、人事異動によってルーチンワークの標準化が進みやすくもなる。
[2]管理職層
管理者の評価項目の重点の置き方を変えることが肝要である。これまでの管理者の評価は、どちらかというと部門業績を中心に行われている。それは企業業績に直結するので最重要評価項目であることは勿論であるが、部門業績と並ぶくらいに自部門の社員の力量強化にどのように貢献したかを管理者評価に加えるのである。具体的には下記のことがある。
ア)課であれば、課員本人への面談を行う。この場合は飛び石的な面談で、課長を評価する時は部長が課員を面談、部長を評価する時は役員が課長を面談する。その際に、課員へここ1年で何を習得して自分として何が伸びて、どんな貢献が出来たかを直接確認する。そして、課長が課員に対して育成にどのように配慮したかを確認するのである。
イ)当該課の課員の育成計画やその実施状況を部長が確認して、課長の意識や実行力を確認する。
[3]一般社員
 国際競争力に耐えられる人材は、基本的には前述の経営者層や管理者層の取り組みや制度の運用を前提に、一般社員から育てる必要がある。それによって、経営者−管理者−一般社員まで一気通貫の社内の取り組みが効率良く実施される。一般社員への強化策として次のことがある。
ア)会社側が期待する人材像を明確にして全社員に伝えるとともに、上司と相談して当面の自分の目標を設定して、本人の努力と会社側がそのための配慮を行う。
イ)その上で、会社としては色んな経験をさせるようにする。新たな知識や情報も重要であるけれども、国際競争力に勝って行くには海外出張も含めて、経験を積ませる配慮が必要である。
ウ)以上から評価制度も変えて行くことが肝要である。チャレンジ性、提案など未来の不確実なテーマに対しての取り組み姿勢を評価していくことが求められる。その結果として失敗したとしても、それが次への糧となればある種の育成費用であったと解釈出来るからである。
 国際競争力は一朝一夕に獲得できるではなく、中小企業としては少ない経営資源をもとに一つ一つの戦術的成功(海外の取引開始、自動化による生産性向上等)の積み上げで獲得していくものである。そのためには、社長−役員−管理者−一般社員が同じベクトルで取り組んで行かなければならない。
 次に、以上の人材強化策を踏まえた上で技術の強化について述べる。

4.技術強化策
 これについては、それなりの人材が確保できたという前提で述べる。技術は一般化できないので、経済産業省によりグローバルニッチトップ企業100に選ばれたある企業の診断経験等について述べる。
[1]国際化へと切り開いた技術強化策
 直接的にはコストであった。しかし、早晩コストのみでは利益が上がらなくなったことは、新興国の台頭等により想像に難くない。
 そこには技術の高度化により新興国に対抗する必要があったからである。結果的には補助金を活用しながら、人手製造から自動化に置き換えた。それにより、生産量とコストの両面を解決しながら、新たな納入先を契約して伸ばしている。
 そのプロセスを過程では、中小企業者自身での諸限界(人、金融、技術)を突破するには、他者(公的機関、大手が保有する技術、地元の機械設計業者等)との連携プレーである。この時のコーディネート役やリーダー役のミッションが大である。
 経営者層同士、技術者同士の相互啓発や刺激が目的達成に重要である。この経験から、中小企業自身のみで国内外の競争に打ち勝って行く確率は非常に低く、次の観点で経営していくことが肝要である。
ア)経営者のビジョンとその実現の戦略構築
イ)そのために人材確保や育成に重点を置く。(その前提として継続的に黒字化していることが重要)
ウ)常に情報収集のアンテナを張って、技術力強化のために他者とコラボできるイメージを持っておく。

(2)戦略的経営力の強化に利用できる国の施策について
 私が選んだ、人材・技術力の強化利用できる施策は次のようなものがある。
[1]キャリア形成助成金
 従業員のキャリア形成の効果的な促進のため、目標が明確化された職業訓練の実施等を行う事業主等に賃金助成や経費助成を行う制度である
[2]若年技能者人材育成支援等事業(ものづくりマイスター制度)
 各都道府県に設置された技能振興コーナーにおいては、各企業の希望に応じて、若年技能者の人材育成に係る取組方法・訓練施設・設備等のコーディネート、実技指導の相談・援助を行うとともに、ものづくりマイスターを派遣して、若年技能者への実技指導を行うものである。
[3]中小ものづくり高度化法に基づく、ものづくり中小企業の支援
 中小ものづくり高度化法に基づき、中小企業者が、精密加工、立体造形等の特定ものづくり基盤技術の高度化に向けた研究開発を(他の事業者と協力して)行う際に、助成金や低利融資など、様々な支援を受けることができる。
対象となるのは中小ものづくり高度化法に基づいて指定された特定ものづくり基盤技術に関する研究開発等に単独又は他の事業者と協力して取り組む中小企業者である。
 中小企業者は、中小ものづくり高度化法に基づいて策定された特定ものづくり基盤技術高度化指針に沿った研究開発計画を作成し、経済産業大臣の認定を受けた場合、次の支援措置を利用することができる。
・ものづくり中小企業・小規模事業者等連携事業創造促進事業
・戦略的基盤技術高度化支援事業(補助金)
・政府系金融機関による低利融資制度
・中小企業信用保険法の特例
・中小企業投資育成株式会社法の特例
・特許料及び特許審査請求料の軽減
[4]技術研究組合制度
 効果的な共同研究及び実用化のために企業と企業、企業と大学などが、共同で研究を進める時に、法人格を有することや税制上の優遇措置がある制度である。
対象となるのは、企業、大学、公的研究機関等との共同研究を考えている事業主等で、支援等内容は各企業や大学・公的研究機関等が組合員となって技術研究組合を設立し、事業を実施するために必要な資金、知的財産、研究者等を出し合って、組合員に共通する技術課題について共同研究を行うためのものである。
 具体的な特徴として、[1]法人格を有していること、[2]賦課金を支払う組合員に対し研究開発税制が適用されること、[3]組合が有する試験研究用資産に優遇税制(圧縮記帳)が適用されること、[4]株式会社への移行など柔軟な組織変更が可能であること、などがある。

以上




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