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論文4『私が考える良い企業』

『私が考える良い企業』
~継続的に利益を計上して、 “社員の満足感の維持向上” と “企業外の利害関係者と の良好
な関係” が同時成立して継続的に社会に存続している企業~

本多ビジネスコンサルティング
中小企業診断士 本多 喜悦

※ 掲載論文の無断転載、無断使用はお断りしております


1.私が考える“良い企業”の定義

 私が考える”良い企業”の定義は、下記の1.2.3.4.の定義の企業である。
 これに至った論理的体系的プロセスは避けますが、一言ではこれまでの私の仕事や読んだ文献などの集大成であると思う。

”良い企業の定義”
1.継続的に利益を出している。
2.企業内の社員の満足感を維持向上している。
3.企業外の利益関係者と良好な関係を、維持向上している。
4.1.2.3.が同時に成立していて、長期的に継続して社会に存続している。


 以上が私の考える”良い企業”の姿である。1.2.3.は、4を実現するための存続条件です。これらについて後で詳述する。
 しかしこれらを文字で書くのは簡単ですが実践するのが非常に難しい。例えば、社員の満足感を負いすぎるとコストがかかり過ぎて競争に負けたり、2.をないがしろにすると優秀な社員は辞めていったりすることは日常茶飯事である。
 また、上の定義から”企業の発展”ということを考えると次のようになる。
”企業の発展”とは、1.が継続して2.がさらに向上し3.がより良好な関係が築かれることとなる。
 これから導かれるとこは、決して規模拡大 (売上や雇用の増加など客観的指標) のみが発展ではないということである。 規模拡大は、発展の定義の一形態に過ぎないということになる。
 経営者は、1.2.3.の相互のバランスを取りながら時間軸を見据えて経営にあたる。しかし、“良い企業”は常にバランスをとっているかというと、そうでないと思う。私の経験の中では上の定義の“良い企業” もそうでない企業もある局面でバランスを多少崩しながら “存続” していると思う。まるで、人間が歩くときには重心のバランスを崩して倒れないように足を踏み出すのと似ているのではないかと思う。最近の経営書にあるような “揺らぎ”、“変化” を意識的に作り出すとも言えるのではないか。
以下に、上の定義の内容について述べる。

2. 定義の内容

 前述のように定義1.2.3.は4を実現するための存続条件である。 存続条件を強化することは“良い企業”になるためには不可欠の条件である。これらを以下に述べる。

(1)継続的な利益の計上
 ここで言う“継続的”とは短期的なことではなくて長期的な意味を持っている。つまり、瞬間風速的な利益ではなく “継続的”に利益を出す“仕組みや力”を持つことである。 言葉で書くのは簡単だが、実績を示すのが難しい。 しかし、上場企業でも存在するし、私が支援している地方都市の中小企業にも存在する。 決して机上の言葉ではない。
 経営者はこれを強く意識しなければならない。「継続的に利益を出していくためにはどうしたら良いか?」 をである。
 しかし、利益は“良い企業”になるためのひとつの要素であることに過ぎないことも意識しなければならない。しかも上の定義からすると唯一客観的な要素であり不可欠な要素である。
 つまり、企業が存続してくためには“財務力”を持たなければならないからである。 業種、業態、規模にもよるが他人負債が大きすぎては経営のコントロールが弱くなり、結果的には立ち行かなくなることがあるからである。
それでは、継続的な利益を出すためにはどうしたら良いかということである。 しかし、これについては本論文の本意ではなく、どちらかという と経営学や経営書の分野である。しかし、後述する “社員の満足感”にも大きく影響するので若干述べることとする。

1)企業の目的、 ビジョンを明確にして、企業内に周知する
 企業の目的は、人のため社会のために貢献することである。 その対価として売上や利益が計上される。 ゆえに、 当該企業の経営者はどの分野で、具体的にどのようなことを提供して貢献するかを明確にしなければならない。 そして、目的達成のために理念を自分の言葉で語り、 ビジョン (求める姿) を明確にしなければならない。
 そして、明確にすることと同様に大事なことは企業内部にそのことを周知するということである。 経営者や幹部しか知らないとすれば、社員とそれらを共有することが出来ずに組織力を発揮することは出来ないことになるからである。

2) 実現のための方向性を決める。
 よく言われる“戦略”である。 ビジョンに向けて現在の姿をどう向けていくかの方向性を明確にして管理していかなければならない。そして、これをもとに各種経営計画が策定される。

3) 管理手法や水準の向上
 利益は他社との相対性によって決まる部分もあるので、道具としての管理手法や水準を上げていかなければならないことは自明である。

4) 事業活動の具体的方策
 目的、理念、 ビジョン、方向性が決まり、自社の管理水準を総合的に判断して当該事業が継続的に利益を出して行く ような具体的方策を計画して実行しなければならない。 よく言われる “戦術” というものである。例えば、想定する顧客へのアプローチとか、技術力や今後1年でここまで引き上げるとかの方策である。

以上の相互関係を簡単に示すと図1ようになる。

図1 目的、理念、 ビジョン、事業活動の相互関係

会社の目的    
 
理 念  
 
ビジョン (求める姿) ・ 実現のための方向性 (戦略)
・経営計画(中期計画、短期計画)
・具体的方策(戦術)
・日常の経営管理
 ↓
 事業活動

(2) 社員の満足感
 最近は “顧客満足の向上” が声を大にして言われている。消費者やお客さんの立場では確かに“なるほど”、“ありがたい”、“さすが”と感じることが多い。翻って顧客満足を提供する “企業側” はどうだろうか?
 人を“満足させる” とか“喜ばせる” といったとき、提供側の社員の心理状態が重要である。 提供側の社員が不満や不平を持っていたら、 短期的にはお客さんを満足させることは出来るだろうけれども、 長期的には無理である。 いずれ綻びやメッキが剥がれる。 その結果“顧客不満足”の状況が発生して企業存続の確率が低下するということになる。
 言いたいことは、企業は顧客満足を標榜する一方で、内部では “社員満足の維持向上”のための仕組みを組み込んで置かなければならないということである。
 ただし、満足感というのは極めて社員の主観や価値観に依存する領域が広い。 ゆえに、企業側と社員の信頼関係が非常に重要になる。 満足感を構成する要素は下記のようなことがある。

1)会社の事業内容
 社員から見れば、 良い意味のプライドが持てたり、子供に自分の会社のことを話したりできる事業内容であることが重要である。 そして、事業内容を社長が社員に周知徹底していることも併せて重要である。

2)仕事の内容
 一般には適材適所で仕事をしてもらうのが一番良い。そして、 仕事の充実感や達成感が感じられるような雰囲気にして置かなければならない。

3)人事制度
給料、評価制度、教育訓練などであり、特に透明性、納得性が重要である。

4)人間関係
 人間関係は複数の人がチームで働く企業では非常に重要な要素である。 社員の満足感のなかでも大事な要素である。 また、 自分の仕事が上手く行くかどうかも人間関係にかかる部分が大である。社員はお互い様の感覚で人間関係が上手く行くように意識しなければならない。また、経営者もそれが円滑に行くように配慮しなければならない。

5) コミュニケーション制度
 企業と社員の信頼関係を確立するために、企業全体を貫いているオペレーティングシステムのようなもので非常に重要である。

(3) 企業外の利害関係者との良好な関係
 企業外の利害関係者は次のような人(組織) である。これらの関係者とより良好な関係をもたなければならないということである。

1)顧客
 売上が発生する個人又は企業である。 顧客満足を図りよい関係を構築することは基本中の基本である。

2)株主
 株式公開企業はもちろんであるが、非公開企業でも株主への配当は良好な関係を持つことは重要である。

3) 取引先(支払先)
 仕入先や外注先など自社が顧客となっている取引先との関係が良好であればいざというときの対応や多少の無理を受け入れてくれたり、口コミで顧客を紹介してくれたりするので重要である。

4)公的機関
 行政機関を中心に納税や公的サービスを受けるのに良好な関係を持っておくことが重要である。

5) 1)~4) 以外の個人や組織
 現状では、 直接の接点はないが何らかのきっかけで直接的な接点持つことがあるので重要である。 例えば、人を採用するときなどである。

(4) 継続的存続はなぜ重要か
 以上の定義1.2.3.は全て長期的存続のために必要なものである。 なぜそれが重要化である。 基本的に、 企業は世の中の資源を活用して事業活動を行っている。 “人”、“お金”、“情報”、“公的サービス” 等である。これらの資源を活用しきれずに無駄使いをすれば他社との競争に負けて定義1.2.3.が成り立たなくなり、企業は存続できなくなる。
 特に地方においては、企業が倒産や撤退に至ると、当該地域の雇用や所得に直接影響して、 個人生活や地域経済に大きな影響を与える。
 企業は“社会の公器”であるという所以は以上からの理由によるものと思う。ゆえに企業が継続して存続するということは社会の資源を使っている上でも、社員の生活、地域経済に与えることからして、重要なことであると思う。
 特に重要なのは、“継続的”、“長期的” という概念である。“短期的”や“一瞬”の存続ではいけないのである。それは、定義1.2.3.が多少崩れても可能だからである。 長期的に継続するには、 経営者がそれなり の後述するよ うな考え方と行動力、 実行力で継続して経営管理をしていかないと実現できないからである。

3.“良い企業” になるための方策

 本論文を書くにあたって、実はモデル企業(以下:A社と称す) として注目している企業がある。 ここにヒントがあると思っている。A社の概要は以下の通りである。
・業種:製造業
・業歴:今期で37期
・従業員:30名
 A社は第1期以来一貫して売上が増加している。利益の方は一貫して増益とはいかないが、赤字なったことはない。 そして、売上は直近で約17億円であり、ここ15期連続して税引き前で4千万円以上の利益を出している。東北地方の人口10万の一都市で事業活動を行っているにしては賞賛に値するものと思う。私の知る限りでは社員の満足感も高い。
 A社のことも念頭に置いて “良い会社” になるための方策を以下に述べる。

3. 1 基本前提として経営者の考え方、 人間観、 価値基準の置き処
 これについては定義の全てに関係するので基本前提と して最初に述べる。
中小企業は規模が小さいため経営者の影響力が敏感に組織に反映する、そのため経営者の人間性が良くも悪くも企業の“良さ”に反映されることはよく言われていることである。ゆえに、“良い企業”になるための方策として一番大事なことが経営者の考え方である。この分野は極めて属人的な領域なので一般化することは出来ないが、 前述の考え方やモデル企業、私の経験などを総合した“良い企業”の経営者像を以下に列記する。

1) 本業中心の時間の過ごし方を考えていて、継続的に実行している。
 つまり、仕事に関係のないことや優先順位の低いものには時間を使わない。

2) 社員が自社に勤めて良かったかどうかを常に考えて、モニタリングを継続して実行し
ている。
 A社では、社員との対話の中でそのようなことを織り交ぜながらコミュニケーションを図っている。

3) 社内に適時、適度な変化を与えることを考えて、継続して実行している。
 A社では、設備の更新、 コンピュータ化、 ISOの認証取得などを行って社内変革を意識的に行っている。

4) 付加価値を求めて域外や新しい顧客の開拓を考えて、継続して実行している。
 A社では、ここ10年の間に仙台営業所と東京営業所を開設して付加価値の増加に成功している。

5)人の話を良く聞く。
 これは、やはり基本中の基本である。詳細は避けるが“良い会社”になるためには人の話を“良く聞く” ことが重要である。

6) 適度なバランス感覚を持っている。
 経営者は多く の分野で適度なバランス感覚を持たなければならない。それは自分の創造活動を行うような芸術家とか研究者などとは違う資質である。それは経営と言うのは社会と良い関係を持ちながら行わなければならないからである。 もちろん、バランスの中でも自分は技術が得意とか営業が得意というような特徴も必要である。しかし、得意分野があってもバランス感覚が不可欠である。

 会社の経営を行っていると日常いろんなことが起こる。社員の怪我、不良債権の発生など経営課題が山積しているのが通常である。これを解決して自分の思う方向に会社を持っていくためには上記の考え方を継続して実行していくことが最重要である。

3. 2定義1.を実現するために
(1)社員の力量向上
 “経営者の考え方” に次いで重要であるのが社員の力量の向上である。これは“満足感”とも密接な関係がある。どうすれば力量の向上になるかである。このことを経営者は問題意識をもって、その方向に継続して実行して行くことである。私の考える “力量向上策”を以下に挙げる。

 1) 現在の力量より少し難易度の高い仕事を与える。
 2) 新しい仕事の道具を与える。(設備やコンピュータなど)
 3)仕事の分担を代えたり、新しい仕事を与える (配置転換など)
 4) 新たな知識や情報を獲得させる。(外部教育機関への派遣、 内部の教育制度など)
 5) 個人ごとの目標管理制度を導入して、その進捗状況の把握と評価制度を実施する。
 6) これらを円滑に行うためのサポート体制づくり (コミュニケーション制度など) を充実させる。

(2) 継続して利益を出す仕組みの明確化と実行
 自社の利益が出る根本的な要因は何かを考えて、それを顧客に訴求していく こ とが肝要である。 いわゆる自社の強みは何かを明確にしてそれに磨きをかけて行くのである。そして同業他社の追随を許さないのである。
 A社の経営者の印象的な表現がある。「利益を出すか出さないかは経営者の癖である。」実績や前述の経営者像からすれば極めて含蓄があると思う。おそらく言いたことは、経営者は“利益”ということを常に考えていることが大事であるということであろう。
 利益を出す仕組みは、業種、業態、規模によって異なるが次の点は共通であると思う。それは、 自社の強みは何かを明確にして、その強みと利益を出す仕組みをどのようにリンクさせるかである。
 A社は下記の業態を実現している。

・大都市への営業所の開設により、地域外の顧客へのアプローチ、新しい業態の顧客へのアプローチを行っている。
・最新の設備を導入して、 同業他社ではコスト的に合わない受注案件からも利益を出している。
・業界では先駆けてISO9001を取得して管理水準を高めている。

 これらが功を奏して、前述の実績を示している。 もちろん、それらばかりでなく以下の方策も採って総合的に “企業の力量” が向上しているから他ならない。

(3) 管理水準の向上
 これは管理の基本であるP→D→C→Aのサイクルを如何に企業全体として廻して継続的改善につなげているかである。経営者はこのことを強く意識して経営にあたらなければならない。社長は社長のP→D→C→Aを廻す。例えば1年間の経営計画(P) を立てて実行(D) して、その進捗状況を確認(C) して、もし、計画どおりの結果でなかったら改善策 (A) を採るということである。そして、部長、課長、課員がそれぞれの立場でP→D→C→Aを廻すことが重要である。これがよく言われるベクトルの一致とも例えられると思う。そして、組織力を発揮して目標を達成して“良い企業”になっていくと思われる。

3. 3 定義2.を実現するために
 この方策は前述の2.(2)で述べたことを満たせば良いのであるが実務的な面を補足したいと思う。

(1)社員がやりたい仕事と企業が求める仕事の内容の整合化
 これは社員の充実感、 達成感を持ってもらうためにも永遠の課題といっても過言ではない。 きっかけは社員の側からでも良いし企業側が求めた仕事が実は社員もやりたいと思うようになればそれで良いのだから、どちらがきっかけを作っても良いわけである。
 このあたりは、社員とのコミュニケーションも含めて経営者や幹部が持たなければならない非常に重要な機能である。 具体的には、社員が新しい仕事を提案しても良いし、企業側が求める仕事を公募しても良いと思う。いずれにしても、究極の適材適所は社員がやりたい仕事をやってもらう姿である。

(2) 人事制度
 今日的には、個人毎の目標管理制度の導入が望ましいと思う。これによって社員個人毎の動機付けにもなるし、評価結果がより明確になるからである。そして、目標の設定は企業側と社員が話し合いで決めてお互い納得して仕事に立ち向かうという姿がよい。これで半年後や1年後の結果を見ればお互い納得せざるを得ない。
 しかし、その目標は個人の結果目標のみならず仕事を進める上でのチームワークや顧客との関係など結果に至るプロセスも評価の対象に入れた方が望ましいと思う。 そのためにはやはり社内のコミュニケーション制度が重要である。

(3) コミュニケーション制度の充実
 企業はコミュニケーションが無ければ成立しない。なかなか直接的には目に見えない領域であるが、経営者はもっと社内コミュニケーションのあり方に意識を持って行かなければならないと思う。会社にお邪魔すると、社内に「報・連・相」 のポスターが掲示しているのをよく見かけるが、実態を調査すると経営者や企業側にその配慮が足りなかったりすることが多い印象である。経験的には、管理水準とコミュニケーション水準は同期していると思う。
 具体的には、媒体として“顔が見える”、“紙”、“電話線”、“画面”などであり、組織の部門を横断する“ヨコ”や組織の“タテ”を貫くコミュニケーション、組織の公式的コミュニケーショ ン、非公式コミュニケーションをフルに活用すべきである。
 経営者は現時点で自社の最良のコミュニケーション体制を考えて実行しなければ社員の満足感は得られない。

(4) 精神的つながりの人間関係の向上
 これも満足感の向上を実現するためには非常に重要な領域である。経営者はこれが円滑に行くように配慮しなければならない。
 例えば、ISO9001に内部監査の要求事項がある。社員同士が自分の担当以外の仕事を監査するというものである。この意図は、ルールと業務実態の確認、問題点の検出、より有効で効率的な仕事の提案などを求めているものである。ゆえに、この機能が上手く働けば、顧客満足や業績に反映する。反面、仲間の仕事を監査するのであるから、非常にデリケートになることもある。つまり、自分が監査される場面を考えると “なあなあ”になったり “マンネリ化”したり、“形骸化”する恐れもあるし、嫌いな社員に対しては“重箱の隅を突付く” ということにも成りかねない。つまり、せっかくの機能が人間関係を悪くしてしまう可能性もあるのである。これらを決めるのは社内に充満している“価値基準”である。内部監査は個人攻撃をするものではなく会社を良くする一つの機能で“よく発見してくれた” という価値基準にすれば全く話は違ってくる。 これで、人間関係も変わってくる。このような価値基準の醸成も経営者の力量に負うところは大である。
 自分の仕事ばかりが上手く行くよりも、仲間の仕事も上手く行ってチーム全体が一つの目標に向かって達成されたときの満足感は、人間関係にも大きな影響を及ぼす。 そして、人間関係が上手く行くかどうかは、経営者や上司のリーダーシップにかかっている

3. 4 定義3.を実現するために
 これは、利益が計上でき、社員の満足感がそれなりに向上していれば必然的に2. (3)で示した内容は自ずと達成されていくと思う。利益が出ているのに支払先に支払を延ばしたり滞らせたりすることは、経営戦術としては誤っているので、通常はそのような方策は採らないからである。

4.まとめ

 ここまで、述べてきて明らかなのは定義1.2.が満足されたから定義3があるのではなく、定義1.2.3.ともに相互依存関係を持っているということである。イメージ的には図2のようなものである。

図2 長期的存続のための相互依存関係のイメージ


 ゆえに、どれか一つが低下したり欠けたり しても相互依存関係が崩れて“良い企業” でなくなる可能性がある。つまり、定義1.2.3.ともにバランスが取れて同時成立していかなければならないということである。
 別のイメージでは図3のようになる。

図3 定義1.2.3.が同時成立して長期的存続している姿


 経営者考え方が中心にあって定義1.2.3.がそれぞれのバランスを取り ながら同時成立して結果として定義④が実現している姿である。
 しかし、「良い企業」といえども常にバランス良い状態が続くわけでなく、ある場面では定義①を重くしたり、ある場面では②を重くしたりしてある程度は経営者の考え方や経営環境の変化で揺らいでいる姿である。

5. 最後に

 これまで、 私が考える “良い企業” の姿やその方策について述べてきた。内容からして、そんなに革新的であるとか奇抜性があるとかは思えない。振り返ると極めて基本的なことであり当たり前のことでもある。しかし、“良い企業”とそうでない企業の決定的な違いは当たり前のことを“継続して実行している”か否かである。
 経営には9回ツーアウト逆転満塁サヨナラホームランは万に一つである。企業は個人の集合体でありチームワークの結果である。スポーツに例えれば野球的というよりサッカー的である。なぜなら、試合中において、サッカーは全員がプレーに参加しているが、野球は1人が打者であるとき他の8人はベンチだからである。どちらかというとサッカーはシステムと個人のベク トルが整合していないとなかなか勝てない。個人は全体のために全体は個人のためにあって目標に向かう。
 企業も個人と組織がうまく整合していれば冒頭の“良い会社”の定義が実現できると思う。それを確信しているので本論文を書いた次第である。

 拙い文章をここまで読んで頂いて本当に有難うございました。

以上

 

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